
「入社してすぐ、使い方も教わらないまま機械を任された」「フォークリフトの講習を受けていないのに運転させられた」。そんな状況でケガをした場合、会社は重い責任を負う可能性があります。
会社には安全教育をする義務がある
労働安全衛生法により、会社は従業員に安全のための教育を行わなければなりません。主な教育は次の3つです。
- 雇い入れたとき:機械や道具の扱い方、危険な場所、事故が起きたときの対応など
- 作業内容が変わったとき:新しい作業に必要な安全の知識
- 危険な作業をさせるとき(特別教育):小型のフォークリフトやクレーンの運転、高所での作業、研削といしの交換など、法令で決められた作業
これは正社員だけでなく、パートやアルバイト、短期間の作業員にも必要です。
会社が負う3つの責任

1. 労災保険による補償
仕事中のケガであれば、会社に落ち度があるかどうかに関係なく、労災保険から治療費や休業中の補償を受けられます。
2. 損害賠償の責任
労災保険には、慰謝料が含まれていません。必要な教育をせずに危険な作業をさせていた場合、会社は従業員の安全に配慮する義務(安全配慮義務)に違反したとして、慰謝料などの損害賠償を求められることがあります。教育をしていなかった事実は、会社の責任を認める有力な根拠になります。
3. 法律違反としての責任
安全教育をしなかった会社には、刑事罰(6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が科されることがあります。労働基準監督署の調査や是正勧告の対象にもなります。
ケガをしたときにやるべきこと

- 治療を受ける:病院では健康保険証を出さず、「仕事中のケガです」と伝えます。
- 労災を申請する:会社が協力してくれなくても、ご自身で労働基準監督署に申請できます。
- 記録を残す:教育を受けていないことがわかるもの(作業の指示を受けたメールやLINE、同僚の話、受講記録がないこと)を確保します。
- 弁護士に相談する:会社への損害賠償を請求できるか、確認します。
「本人の不注意だ」と言われても、あきらめる必要はありません。教育を受けていなければ、危険に気づけないのは当然だからです。ただし、ご本人の落ち度の程度によって、賠償額が減ることはあります。
お困りのときはご相談ください
「講習を受けないまま作業させられてケガをした」「会社が責任を認めない」など、労災のお悩みは弁護士にご相談ください。証拠の集め方から会社との交渉まで、お手伝いします。