解決事例・コラム
2025/08/13

遺留分って何?もらえる額が減らされないために

「遺言書で『全財産を特定の相続人に与える』と書かれていたら、他の相続人は何ももらえないの?」――実はそうではありません。法律は、相続人の最低限の取り分を守るために遺留分(いりゅうぶん)という制度を設けています。

遺留分とは、法定相続分の一部を保障する権利のことです。例えば、亡くなった方が遺言で「長男にすべての財産を与える」としても、他の相続人は遺留分を請求できます。

遺留分が認められるのは、配偶者・子・直系尊属(父母や祖父母)のみです。兄弟姉妹には遺留分はありません。割合は、相続人の構成によって変わりますが、一般的には法定相続分の2分の1が遺留分です(直系尊属だけが相続人の場合は3分の1)。

遺留分を請求するには、遺留分侵害額請求という手続きを行います。これは「財産を返してほしい」ではなく、「侵害された分の金銭を請求する」権利です。
重要なのは、請求期限です。

  • 相続が始まり、遺留分を侵害された事実を知ってから 1年以内

  • または相続開始から 10年以内

この期限を過ぎると、遺留分の請求はできなくなります。

実務では、遺留分をめぐる争いは感情的な対立に発展しやすく、家族関係が悪化するケースもあります。請求をする側も、請求を受ける側も、冷静に対応するためには、弁護士の助言や交渉が有効です。

「遺言で自分の取り分が大きく減らされていた」「納得できない分配になっている」と感じたら、まずは遺留分の有無と金額を確認しましょう。期限内の行動が、権利を守る第一歩です。

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